藤元健太郎のフロントライン・ドット・ジェーピー

2014年7月8日火曜日

観光立国に向けた江戸ルネッサンス

江戸城の再建費用350億円 「木造」観光立国の夢(日経新聞)




江戸城再建計画は個人的にも大賛成。ただ大事なのは江戸城そのものよりもライフスタイルまで江戸文化を江戸ルネッサンスとして我々が生み出すデザインやプロダクト,サービスまで活かして,観光,輸出産業に発展させることじゃないかな。明治維新以降のキャッチアップ戦略を捨てる決意として赤坂の迎賓館も建て直してよいと思うし,和食が重要な戦略輸出商品である今こそ国賓の晩餐会にフレンチ出すのも終わりでよいよね。御門には京都御所にお戻りになっていただいて,皇居は江戸城を中心に現代と江戸を融合させた町屋や商家町を整備した観光拠点にして欲しい。和食,杜氏,伝統工芸など職人達が海外で活躍できる認定制度もあわせて欲しいよね。パリが80万都市だった中世,江戸は100万人を越え,下水道もあった。そのパリが年間8000万人の観光客,日本もやっと1000万人で喜んでいるけど,もっともっと江戸文化で世界を魅了しよう!そのためには我々が明治政府が作った追いつき追い越せの富国強兵のための日本人像を捨て去り,もっとクリエイティブだった頃の日本人像を取り戻し,毎日を人生楽しむために生きるところから始めないとね。自殺したい人が多いような国のプロダクトは買いたくないし,遊びに行きたくないからね。

2014年7月3日木曜日

俺様キングダムの国王達



絶叫記者会見見ているとまた一人大物が増えた感じ。しかし最近の話題になるこうした人達の傾向として「世間からするとあきらかにおかしいことを自分の王国の中で正当化しながら生きている」という傾向があると思う。世間というパブリックの中の自分という感覚が本当に薄く,みんな自分王国の王様。かつてパブリック感覚を養う場であった家族は多様化が進み,個人の王国の寄せ集めの共和国になってしまったので,パブリックを構成する一員としての自分を意識しながら育つ機会が日本人は本当に少なくなってきているのかも知れない。絶叫記者会見の議員さんも頭はよくて勉強はできた人ぽい感じなんだけど自分の王国ルールを正当化することしか頭に無い感じだもんなー。モンスター○○も増えているけど結局俺様キングダムの国王ということだよね。どこかで強制的に1-2年集団生活させるなど社会を構成する一人であることを徹底的に意識する機会を持たせることも必要かもね。パブリックとプライベートの概念をしっかり意識して育てることが大事。

2014年6月10日火曜日

SIMの呪縛から解き放たれる端末達

速報:ドコモが「ポータブルSIM」開発、SIM抜差し不要で複数スマホ利用可。かざして認証


ようやくSIMと端末を切り離して使える機能が登場しそうだ。これにより,ユーザーは様々な端末を自分のものとして使えるようになる。まさにユビキタスのコンセプトを実現するためにもっと早く出てくるべきサービスだったと言えるだろう。まずこれが出てくると端末開発の考え方が変わる。今は一台しか持てないと考える人が多いので,購入する方が一番無難で最大公約数な端末を選ぶしかない。結果的に売れ筋で無難な性能のものが一番売れることになる。しかし,複数の端末を自由に切り替えて使うことができるなら,アウトドア用のスーパータフ,パーティ用のラグジュアリー,ドライブ用の大型液晶端末と特定用途に応じてエッジの立ちまくった端末も購入できるため,色々特徴的で挑戦的な端末が出てくることになる。日本のガラケー的なものも一台持っておくかという発想にもなりやすい。端末の売り方も二年縛りではない売り方も増えるはずで,自動車とセットとか,アクセサリーとしてブランド品として販売されるようなものも出てくるだろう。現在グーグルが準備している「Project Ara」のようにパーツをブロックのようにすることで機能アップできるようにすれば,様々な端末を自分でカスタマイズする楽しみも出てくる。いずれにしてもIoT時代に無難とは縁遠い自由な発想でぶっとんだ端末の可能性が出てきたことは楽しみだ。

旅行収支44年ぶり黒字 成熟国家への転換

旅行収支44年ぶり黒字 4月、訪日外国人が急増



旅行収支がオリンピックよりもはるか前にまさかの黒字。一方で貿易収支の赤字は慢性化しており,原発停止によるエネルギー輸入の増加要因はあるものの,すでに家電輸出の落ち込み,電子部品の輸入など構造的な貿易収支の赤字が定着しており,日本は典型的な成熟国家になりつつあると言える。ますます日本人の生き方やライフスタイルそのものを魅力的なものとして世界の中で付加価値を持たなければ行けない時代になりつつある。そのためには日本人一人一人が毎日人生を楽しんでいることが何より大事。毎日自殺したいと思っているような国民が多い国に旅行に行きたいとは思わないし,そんな国民の生み出したブランドのプロダクトに高いお金を払わないだろう。旅行収支の黒字は「日本はよくわからないけど日本製は安くて性能がよい」から「あの日本人の生活が素敵だから買いたい,訪れてみたい」への転換が確実なものになったということだろう。それはつまりSONYやHONDAのような謎の無国籍企業中心で戦う時代は終わり,旅館を世界に展開したり,LVMHグループのようなライフスタイルの付加価値で勝負する企業が出てくる必要があるということなのだろう。

2014年6月6日金曜日

自律行動型ガジェットとして増殖していくロボット社会


ソフトバンクがロボット事業を発表した。ただ人型でしゃべる接客タイプだったこともあり,どこかで見たデジャブ感があったのも事実だろう。しかし,これまでのASIMOのような見せ物としてのロボットから,我々と一緒に社会生活の一部として働くロボットが増加する流れは間違い無い。新興国では人件費が高騰する中無人のロボット工場が次々と作られている。ロールスロイスは無人のドローン輸送船を開発中だ。自動車も貨物輸送システムとして無人車両が増えるだろう。すでに戦場に送り込まれる兵器は次々と無人兵器になっている。街中の安全の見守りや清掃ロボットなども出てくるだろう。センサーで状況を把握し,通信で周辺のデバイスと協調しながら自律的に動く端末をロボットとするなら,スマホの延長線のようなロボットもどんどん増えてくる。子供がプログラミングしてスマホをロボットにして遊ぶRomo(http://www.romotive.jp/)もまもなく日本で発売されるが,これも立派なロボットだ。
街中で不審な動きをしていると「ペッパー警部」に注意される日もすぐそこかもしれない。



2014年4月11日金曜日

ハリウッド版ゴジラは原発事故と津波とともに現れる


ハリウッド版ゴジラの新しいトレーラー。これは日本人にはしばしの重い沈黙を持たらす。ストーリーがかなりあきらかになりつつあるがどうやら日本の原発事故(しかも何かしらの地震)からスタートし,ゴジラは津波とともに押し寄せる。その表現は完全なフラッシュバックであり日本人にはかなり辛いものだ。これまではリメイク楽しみ!だったが震災後のタイミングでゴジラがリメイクされたこと「人類の科学と自然への畏敬」という原点回帰を日本が生み出したゴジラが世界の視点で描かれることで再認識することになりそう。これは重い。

2014年4月8日火曜日

戦略コンサルタントがよく使うハンドサイン

ハンドサインが流行っているので戦略コンサルタントのバージョン作ってみた。

2014年3月26日水曜日

日経新聞のスポーツ記事の秀逸さ


始球式は何のため? 球界のためでしょ


ついつい我々はプロ野球選手は見た目や打ち方などをそのままその人の人間性に当てはめがちだ。豪快なスイングをする人は豪快な人だと思うし,ファールで粘る人は人間的にも粘っこい,おでこで球を受ける人はおっちょこちょいだと。長島茂雄が実は努力家で計算していた人だということは最近でこそ広まっているが,みんな感性の天才と感じていたに違いない。そういう意味で日経新聞のスポーツコーナーが採用する評論家の人達の文章には驚きを持つことが多い。文章から引き出す野球人のあらたな面や過去の真実などが短い文章でも濃密なドキュメンタリーになる。長くコラムを続けていた豊田泰光さんのコラムは視点といい,他のスポーツ紙では語られないような側面が描かれ毎回とても楽しみにしていた。そしてこの広沢さんの記事はまたまたびっくり。彼の現役時代からはやはり想像できない(ごめんなさい)秀逸なコラム。編集者の引き出し方がうまいのかも知れないが,しっかり調査もしたことも伺え,世の中に対する提言でもある良記事だ。グラウンドで我々が見ていることは野球のほんの一部でしか無いことを彼らは教えてくれる。

2014年3月16日日曜日

恐るべしクールジャパンの超新星誕生!BABY METAL!


衝撃のメタルアイドルグループBABY METALにはまりまくっている。2月にアルバムがアメリカ,イギリス,ドイツのiTunesメタルチャートで1位になり,とうとう最新の全米総合チャートでも33位,スウェーデンで13位!3月頭には武道館最年少記録を更新したという恐るべきアイドル。ギミチョコの振り付けはPerfumeの人が担当したらしい。アイドルとヘビメタとテクノとダンスの融合具合が新しくこれはワールドワイドで行ける!YouTubeの書き込みも外人の方が圧倒的に多い!きゃりーぱみゅぱみゅのバックダンサーの天ぷらキッズがポップなテクノダンスで海外での評判を高めたがやはりメタルとアイドルの融合のインパクトに勝てずこれは完全において行かれた感じか。純粋なメタルファンからするとバックバンドがエアの場合もあり邪道かも知れないが,神バンドと呼ばれる本物のバックバンドの演奏はかなり素晴らしくメタルが再び盛り上がるために是非認めてあげて欲しい!
個人的にはXJAPANへのオマージュ感が半端無い「紅月」という曲がヤバイ。とにかく是非動画を見て欲しい。この後ヨーロッパツアーに出るようだがBABYMETALは間違い無く今年一番のクールジャパンの新星だ!

ギミチョコ!
紅月

2014年2月27日木曜日

LINEの未来を妄想してショートショート書いてみた

私は小さなヘッドホンメーカーを経営している。メーカーと言ってもマンションの一室でやっているベンチャーだ。今の時代はネット上に転がっているヘッドホンの設計図やCADデータをちょちょいといじってLINEが提携しているフォックスコングループが運営するAPIに接続すれば試作,テスト,製造まで彼らの無人工場で全部やってくれるから便利な世の中だ。販売とマーケティングはLINEが提供するAPIに接続すれば広告,販売,決済,顧客管理まで全部やってくれる。LINEはクロネコAPIとも接続されているのでフォックスコンの工場から顧客までの配送もやってくれる。私は顧客の名前も住所も何も知らない。LINEのIDのリストだけが私の管理画面に出ているだけだ。私の場合はたまたま芸術系大学の非常勤講師の古い友人に7000円で書いてもらったキャラクターが人気になり,そのキャラクターのスタンプがLINEで流行ってくれたおかげで私のヘッドホンも売れたというわけだ。まあ売れたのはいいのだが肝心のヘッドホンは普通なので差別化ができない。そりゃそうだ。今の時代誰でもヘッドホンは作れる。貴重な素材や部品を使った大手メーカーの高級品以外は音質も値段だって同じぐらいになる。最後のちょっとしたデザイン,カスタマイズ対応ぐらいが我々ベンチャーメーカーの差別化ポイントだ。それも最近は3Dプリンターの普及でみんな自分でカスタマイズ部品作り始めた。もはや大事なのはネタだ。あの友人の前衛芸術家が「商業主義的なキャラクターデザインなんか遊びながら書ける」と書いてくれたキャラクターだけでこれだけ話題になるとは。人々が求めているのはもはやネタだ。そこで私は考えた「悲劇のヘッドホンメーカー起業家」になろうと。悲しい生い立ちに相次ぐ挫折,7回目の起業でようやく成功とか,割烹着を着た理系女子ということにするか?そうだ耳が聞こえないヘッドホンメーカー社長とか超悲劇的だ。さっそくLINEでブログを始めて生い立ちを創作し始めた。知り合いから聞いたステマAPI会社に接続してお金払うと私のブログの内容に感動したという文章が自動的に作成されて有名人が書いていることになっているブログに掲載してくれるらしいので試してみた。。


素晴らしい反応だ。感動した。号泣したという書き込みがソーシャルメディアで溢れている。誰かが泣けるムービーとか作成してYoutubeにまであげている。ヤフトピにものったぞ!ニコニコからも生番組への出演依頼がきた!!。。。


うーん。失敗した。本当は聞こてるんじゃないかという後ろからの突っ込みに思わず反応して振り向いて怒ってしまった。。。炎上しまくっている。もうダメか。。ん?このバナー広告はなんだ?私が炎上していることをネット上で検知したらしく広告が全部炎上ものになっている。
「炎上の学校 これからはセルフ炎上APIの時代!誰にも縛られない炎上ライフをエンジョイしよう!」
「よせよ燕氏がその炎上から秒速で1億稼ぐAPIの使い方を教えます!燃える男に憧れる彼女もできます!あと1時間で締切ます!」
「イケルハヤタ氏のノウハウをシステム化した炎上API!あなたの炎上ブログで安定的にイラッと炎上を起こす文章を仕込みます!安定収入が得られます!」


まったく困った時代だ。疲れ果てた私は仕方なく自分のLINEIDの変更画面にアクセスした。
これで人生はリセットされる。誰も私の本名も住所も知らない。ニコニコだって顔をアバター化して出演したから本当の顔はほとんど知らない。
購買履歴もネット上の発言も,友人関係も全てが消える。
「さて日本人はもういいかな・・次は。。」

言語と国の設定も変更した私は新しいLINEIDで次の人生をスタートさせた。

「Hello World」 

2014年2月21日金曜日

Bluetoothbrush発売!


Oral-Bから青い色の歯ブラシBluetoothbrushが6月発売。ようするにBluetoothLE対応でスマホと通信する歯ブラシ。スマホで歯磨き状況を診断してくれる。いよいよ一般的なブランド品がセンサーになっていく。日本の家電メーカーも早くしないとまずいよー。ほっておくとiRobotと同じで気がついたら外資に市場奪われる事態があらゆるプロダクトで起きる。ハードウェア単体の価値から,その利用状況を行動データで解析してサービス価値を提供する価値へのシフトが先進国では一気に始まる。
これからは自分の歯磨き状況をスマホが分析して,「もっと丁寧に」とか「磨き場所が偏っている」とか指導してくれるようになるのだろう。今後はデータを見て歯医者さんからのアドバイスがもらえたり,歯磨きするとキャラクターが成長して子供に毎日歯磨きを習慣化させるゲームアプリなども登場するかもしれない。歯ブラシメーカーからすると歯磨きをしている場所や時間帯や頻度などの顧客の利用状況が分析できるため,商品開発やプロモーションのやり方も大きく変わることは間違いない。

2014年2月16日日曜日

グローバルスタンダードとローカリティの共存


どこに行っても同じデザインと品揃えというのは安心感とも繋がる。海外旅行で不安な中で馴染みのブランドのお店を見つけた時は多いに安心できるだろう。もちろん効率という意味ではスケールメリットも様々生みやすい。しかし,スターバックスのように社名からコーヒーを外し,「サードプレイス」のコンセプトを強く打ち出せば,それは「地域でもっとも安らげる場所」を目指すことになり,コーヒー以外のものを販売してもよいだろうし,デザインだって地域性を活かしたものである方が望ましい。コンビニもそうだ。セブンイレブンの強力なブランドを生み出しているのは全国どこに行っても手に入る美味しさと安心感だろう。しかし,一方で地方に行った時に地元スーパーのあの魅力はたまらない。独特の品揃えや地元産,地場メーカーの商品を見つけた時のワクワク感はコンビニでは決して味わうことができないものだ。オムニチャネル時代になれば店舗の存在価値はまさに「サードプレイス」。ついつい立ち寄りたくなる居心地のよさやワクワク感,馴染み客として扱ってくれる接客や来ているお客さん達の雰囲気が醸成する空気感などが差別化になる。さらに多様で地域性を許容する在庫管理が可能なグローバルサプライチェーンを裏側で持っていれば完璧だ。例えば地方のスターバックスでその土地ならではの店舗デザインでさらにスタッフがセレクトしたお土産を扱うようになっていて,それは同時にアマゾンでも購入可能になっていればたちまちかなりの売上をあげる土産屋になることは間違い無い。世界中そうなれば旅行者達の拠点化することになる。コンビニでもローソンが自治体と組んで地域性を取り入れた店舗展開を始めているところが期待だ。これまでのチェーンオペレーションは部分最適の結果だ。ITが本当に目指すべきは効率的な多様性を可能にする全体最適なのだ。


ローカルな店舗デザインが楽しい「世界各地のスターバックス」

2014年2月12日水曜日

接客のIT武装化


O2Oの視点のひとつに「接客のIT武装」がある。接客という極めてヒューマンタッチなコミュニケーションにもIT武装による差別化が始まる。もちろん人間力と経験から生み出されるおもてなしの力が無くなることは無いだろう。しかし,コミュニケーション能力に優れた人がIT武装することでより適切なおもてなしができるのであれば属人的な組織はやがて,IT武装し組織化されたサービスに駆逐されるだろう。接客に立ちふさがるのは進撃の巨人の壁並の「声がけ」。どんなにベテランでもそのタイミングは難しいだろうし,かけられる方もかけて欲しい時には店員がいないなどそのミスマッチは男女の間ぐらい人類の歴史上難しいものだった。IT武装した接客ではそのミスマッチは劇的に解消する。売り場を幸せな空間にするためのIT化がこれから始まる。


2014年2月10日月曜日

自宅空間のライフログ化



先日のセナの走行データもそうだが,全てを記録しておいて,それを再現可能にすることは新しい発見をもたらす。このTEDのプレゼンでは赤ちゃんの声の膨大な記録から言葉が生まれる瞬間の分析を可能にした。しかしこのアプローチの凄いところは赤ちゃんにマイクをつけるのではなく,自宅全ての映像と音を録画し続けて3Dデータとして再現可能にしたところだ。赤ちゃんの空間における行動からどの場所でどんな言葉を発したかの分析もできるし,可視化もできる。プライバシーの問題をいったん置いておくとすれば,人間の自宅における生活行動が全て分析可能なので,モニター住宅作ってパネル化してビジネスにできそう。まずは300世帯ぐらいからどうかな。映像データは使わない&家賃無料で住めるなら応募する人も多そう。これからの社会は行動データを提供して生活コスト下げる人と,行動データ一切提供しないけどコスト増を受け入れる人にわかれるのだろうねえ。

2014年2月9日日曜日

データから蘇るセナの走り

「データで感動をつくる」アイルトン・セナの走りを"音と光"で蘇らせたプロジェクト


これはセナ世代としては本当に感動。鈴鹿のコース上でセナのデータを音と光で再現する試み。確かにそこにセナが走っていると思えてくる。センシングにより圧縮されたデータが部分的にでも再現されれば後は人間の補完力でそこにはリアルな感動が生まれる。HONDAのF1におけるセンシングの取り組みはその後の自動車のプローブ情報の活用に多いに貢献した。スポーツにおけるビッグデータ活用もどんどん進むだろう。スポーツのデータは試合結果という単純な情報からスタートした。やがて試合経過を記録していくデータ化が進み。野球では野村ID野球となり,マネーボールも生まれた。今後は選手の生体情報,あらゆる動きをセンシングする方向に行くだろう。勝つための戦略,戦術,選手の育成方法なども大きく変化していくことは間違い無い。中継の表現の仕方も大きく変わるだろう。自分がそのプレーヤーとしてVRで体験することも可能になる。2020年の東京オリンピックは「センシングデータオリンピック」になっているかも知れない。

2014年2月7日金曜日

ソニーのばら売りの未来

Googleがスマホとタブレットのモトローラをレノボに売却してハードはウェアラブルとロボットに集中しようとしていタイミングで,「(スマホなどの)モバイル機器の急成長による市場変化を踏まえ、スマホとタブレット端末に集中すべきだと判断した」という周回遅れなこと言っているのはもうオワコンな感じ。BOP市場で本気で闘うならともかく,ブランド活かした付加価値戦略とる会社なら新市場創造して創造者利益独占するような戦略出していかないと。プレステ4でARは取り入れたけど例えばVRでゲームと音楽を融合した大人が楽しめるエンターティメントの世界を創造して欲しい。HMDで武道館のステージで演奏しながら歌えるカラオケとか欲しい!このままだと「バラ色の未来」じゃなくファンドの提案みたいに,ハード,金融,コンテンツの「ばら売りの未来」


2014年1月26日日曜日

東京の米軍基地問題


都知事選の話題にはならないだろうが,東京にも米軍基地問題がある。特に港区の米軍ヘリポートは返還予定のまま未返還で,港区議会でも常に話題になっている。そして私は当事者だ。ヘリポートからの直線距離でほんの3-400mメートルのところに住んでいるため,朝,夕の頻繁な離発着の爆音は聞こえるし,日本中でもヘリが墜落して巻き添えを食う可能性のかなり高いところに住んでいる。だからと言って私はただちに返還しろとは思わない。自分が米軍の立場だったらこんなに各地の米軍基地と都内の間の連絡に便利な場所は無い。明日日本人の身代わりに命を落とす可能性のある米軍のためにできることはしてあげるべきだと考えている。もしそれが嫌なら膨大な国家予算をつぎ込んで再軍備をし,外交で徹底的にリスクは排除するしかない。日本人は戦後水と安全はただで来てしまった。靖国参拝がいいか悪いかの議論よりも,本質的に日本の安全保障をどうするかのコンセンサスを作る事から目を背けては行けない時期が来ている。


六本木ヒルズの上から見た米軍ヘリポート

2014年1月23日木曜日

東京が都市間競争時代に勝つために-政策アイデア私案-

いよいよ都知事選。都民としてはいったん日本国のことは忘れて東京を考えたいと思います。
原発も大事だけどもっと東京のための政策を個人的に考えてみました。

まず目指すべきことは何か。これからの東京は世界中の都市と都市間競争しなければいけないわけで,大事な目標は

「都市間競争に勝つ」

ということにつきると思います。競争ですから差別化要因が必要です。
東京が世界に通用するもの,させなければいけないものは以下と仮定しました。
・食文化
・江戸文化
・切実な高齢化社会ソリューション
・防災

これを前提にした時の政策アイデアは以下です。

1)海外富裕層セカンドハウス誘致作戦
狙い:対内直接投資,インバウンド観光
まずは東京を手っ取り早くグローバル化しなければいけません。
そのために早い話が世界中の富裕層な人達に東京にセカンドハウスを作ってもらうということです。
一年のうち数ヶ月ぐらい東京に住んで,世界にほこる美味しい食べ物やおもてなしを体験してもらうということです。
大和撫子やイケメンショコラティエなどと当然仲良くなっていただく。
例えばベンチャー起業家がパーティで水原希子見たいな女の子と
「新しい事業の資金調達先探してんだよねー」
「私香港財閥の○○と超仲良いよ!彼東京来るといつも遊んでるの!今度紹介してあげる」
「マジ紹介よろしく」
となって最初からグローバルなビジネスがセットされます。
さらに当然その関係性の中で子供達も色々な形で産まれるでしょう。その子達は生まれながらにとてつもない人脈を有しているわけです。
富豪達は自分の子供など愛する人が住む東京に愛着がわかないわけがなく東京への投資はどんどん集まるというわけです。
実際ロンドンやニューヨークには中東やロシアの富豪などのセカンドハウスがたくさんあるようです。
東京は特にアジアの富豪のセカンドハウス優遇策やるべきです。

2)シニアシェアハウス推進
狙い:孤独死ゼロ
待機児童ゼロはすでに区レベルでも一生懸命やっています。一方激増しているのは孤独死です。
すでに高齢化社会に直面した都市として東京は独居老人を集合させた高齢者シェアハウスを積極的に増やしていくべきです。
毎日一緒に食事をする仲間こそが孤独死を減らします。
「うめさん最近食欲ないねー」
など身体の変調に周囲が気づきます。またシェアハウスにはエネルギー効率を高めたり,ネットスーパーでまとめて宅配したり,高性能な家電を入れられるなど周辺産業にとっても様々なメリットをもたらします。
シェアハウスへのリフォームや新築を優遇する措置を行い孤独死ゼロを目指すべきです。
そして高齢化社会のソリューションサービスを育成し,海外都市への輸出産業とするのです。

3)No1防災IT都市
狙い:IT産業育成,防災
必ず東京に地震は来ます。下手すると千葉のスロースリップは明日にでも首都圏に炸裂するかもしれません。防災は絶対必要です。
防災のための投資は都民の納得のいくところです。
そこで防災のためのセンサー,ロボットなどITインフラ投資を行います。そのインフラを活用した様々なサービスや取得できるオープンデータを活用した研究開発や新ビジネス育成を推進します。ただ漠然とベンチャー育成というよりは防災という安全保障のための重要な投資を有効に活かすべきです。
もちろんそこで生まれた技術やサービスは平時向けには新ビジネスとして花開くもよしでしょう。
世界最先端の防災都市を目指すことは東京の宿命とも言えます。それを武器とした産業育成をするべきなのです。

4)江戸職人認定制度
狙い:インバウンド観光,江戸文化の産業化,クールジャパン
東京観光がいつまでも雷門連れて行くだけでよいわけがありません。
かつてフランス上流階級をめろめろにした江戸文化はクールジャパンそのものです。そしてそれを支えるのはアーティスト,職人達です。
すでに区レベルで一部始まっていますが東京が世界にほこる江戸文化を観光や輸出産業として強化していくために江戸職人を認定し,支援していくプログラムを充実させるべきです。寿司職人のように世界レベルで通用するものを増やしていくべきです。
これからもてる男は官僚でも銀行マンでもありません。職人です!腕のよい職人は世界中の女性達の憧れのまととなるでしょう。
東京の草食男子達よ「しゃらくさい!」と見栄をはりましょう!

5)江戸城再建
狙い:インバウンド観光,江戸文化産業化
禁断の最終兵器です。江戸ルネッサンス作戦の最終目標は東京の中心にあります。
そのためにはまず天皇陛下に本来の都である京都の御所にお戻りになっていただきます(京都の観光のためにもベストです)
そして皇居に江戸城を再建し,江戸の街を復元した江戸文化集積地にします。先ほど育成した職人達が大活躍するのです。
世界中の観光客が一度行きたいと思える場所にします。現代の花魁道中に世界中はため息をつくことでしょう。
もちろん防災都市ですから災害時には10万人以上を一時的に避難させられる場所とします。

江戸ルネッサンスこそが東京が国際都市間競争を勝ち抜くための武器です。
さしさわりの無い政策になりがちな昨今。原発も大事ですがみんなのアイデアで東京にイノベーションとルネッサンスを!

2014年1月21日火曜日

facebookの若者離れ

#フェイスブック フェースブック、やはりアメリカのティーンの間で人気急落
この話題定期的に必ず出てくる。そもそも自分が17歳だったとして話題のクラブにかっこつけて出かけて行って,「Hey!」とドアをあけたら両親,親戚のおじさん,学校の先生がたくさんいたらそっとドア閉めて帰るだろう。大人達に隠れて狭い人間関係の中で濃密なコミュニケーションを行いたい世代にとってはアカウントは持っていてもコミュニケーションのメインツールにはならない。日本ではそこはLINEのグループが十分役割を果たしており,Twitterをそのつもりで使っていて炎上する若造が続出したのは記憶に新しいところ。でもいずれ自分が社会に出て,広い範囲で様々な深さの人間関係を構築していくとそうしたソーシャルグラフに適合したソーシャルメディアが必要になる。もちろん機能面でmixiの足跡の失敗のように致命的なミスをおかす可能性は十分ああるため,リスクを分散するためにも人間関係のソーシャルグラフのマネジメント機能とその上でのアプリケーションやサービス機能は分離した形で進化させていくことが大事だ。アプリはその時々の面白いものがたくさん出てくるがソーシャルグラフさえしっかり成長させていけばビジネスとしては成長の方法はいくらでもある。

2014年1月19日日曜日

セブンカフェのマシンインターフェイスの店舗の独自工夫に見る面白さ


セブンカフェのマシンの使い方がわかりにくいので各店舗が工夫をしている様子がNAVERでまとめられている。このセブンカフェの事例は色々な示唆を与えてくれると思う。私は以下の3つを感じた。

1)クールvsベタ
楽天の店舗のインターフェイスはベタだがCVRを求めるとああなる。クールさは一部で熱狂的に支持されたとしても日本中のマスをターゲットにしたビジネスにはベタさが必要。googleが日本ではyahooに勝てないのもそこはあるだろう。

2)カスタマイズデザインの未来
シンプルなiPhoneをカバーやデコで自分なりに創意工夫する日本人を考えるとシンプルデザイン+カスタマイズは今後の流れなのかも知れない。そうすると3Dプリンターはそうしたカスタマイズのための部品などを製作するインフラとしての凄い可能性を感じる。

3)現場改善力の高さ
どのコンビニよりも本部の指導が徹底してそうなセブンだがこうした現場の独自の創意工夫が働くところにやはり強さを見る。今では私的には各店舗毎にどんな工夫をしているのだろうと見るのもひとつの楽しみになっているくらいだ。

佐藤可士和さんがもしこの2),3)を考えて投入したとしたらやはり天才だ。

佐藤可士和さんのオリジナルデザイン
独自に工夫されているコーヒーマシン

2014年1月12日日曜日

地上波テレビ局におけるVOD戦略「もっとTV」

民放5社が協力し月額900円で多くの番組を見放題という「もっとTV」がスタートした。思えば2002年にフジ,テレ朝,TBSでトレソーラというサービスが実験を開始してから12年。やっといけそうなサービスにたどりついた感じがある長い時間だった。ただまだビジネスとしての迷いも感じる。テレビCMという大きなビジネスモデルを持っている地上波民放局にとって,これまでVODは既存コンテンツの二次利用活用のビジネスという考え方が強かったと思う。しかしYoutubeやニコ生などでリアルタイムな動画コンテンツが溢れている状況では,地上波の視聴率や価値を高めるための効果がネットにも求められている。実際ソーシャルメディアの分析をしているとテレビ番組やCMが元ネタの発信はとても多い。あまちゃんや半沢直樹の人気もソーシャルメディアが一定の役割を果たしていただろう。地上波コンテンツがさらに価値を高めるためにはソーシャルメディア上で流れてきたコンテンツからのリンクやそこからの検索のあと瞬時に動画コンテンツに飛べることが大事だ。もっと言えば動画の中の特定の場面にタグを打てることでさらに特定の場面を共有することが可能になりバイラルも盛り上がる。そもそも録画視聴が増えている状況では放送後1週間程度はいつでも無料でシェア可能なVODが地上波の価値を高めることが必要ではないだろうか。一方で権利の問題はあるものの過去の膨大な番組やCMコンテンツを検索から見ることができる価値は有料コンテンツとして新しい二次利用収入モデルの可能性も十分にあるだろう。これも番組の中の特定の場面にタグを打てれば検索性がとても高くなる。まとめサイトなどが利用料をまとめて払い,エンドユーザーは無料というモデルも模索する段階に来ているのではないだろうか。日本の地上波テレビは終わったという人も多いが人々がネタ消費を求めている現在,まだまだ豊富なネタを作り続ける地上波テレビは稼ぐことが可能だと私は考える。既存モデルの強さ故に長きに渡り変革を拒んできた業界だと思うがもっとTVのようなモデルの登場はようやく変化することを許容し始めたと言えるのかもしれない。

2014年1月7日火曜日

セブン&アイが冷蔵庫を作る日

LGとLINEが提携してスマート家電を作る発表をした。確かに面白い動きではある。しかし,所詮は冷蔵庫をインテリジェントにした程度の話で過去20年ぐらい語られてきたレベルだろう。我々がこれから起こさなければいけないイノベーションは冷蔵庫の役割そのものだ。「自分で買ってきてしまう」という行為を前提にした冷蔵庫ではどんなにインテリジェント化しても限界がある。しかし「誰かが運んで来て納品してくれる」冷蔵庫になった途端に景色は変わる。ネットで注文してから冷蔵庫に納入されるまでのデータが揃えば今冷蔵庫に何があるかが簡単にわかる。次の注文までのタイミングで消費期間データも蓄積される。この冷蔵庫は後ろから納入するため,廊下面に設置されるかもしくは共同の大型冷蔵庫になるだろう。部屋の間取りからして変わる。そして中心的なプレーヤーはメーカーでもネット事業者でも無く,やはりセブン&アイのような事業者になる。セブン&アイが目指すオムニチャネルの最終形は家の中の冷蔵庫になるだろう。冷蔵庫を開けると自動的にセブンゴールドのPB商品がずらりと並んでいる世界は圧倒的な競争力だ。夢物語のように聞こえるかもしれないが新築マンションやシェアハウスにネットスーパー機能をつければすぐにでも実現できる世界だ。二次産業のメーカーと三次産業の小売りと四次産業の行動データの流通事業者の連携こそが生活のイノベーションを産み出す。O2Oとオムニチャネルの次にある世界がそこにある。そして家電メーカー復活のヒントもここにある。