藤元健太郎のフロントライン・ドット・ジェーピー

2014年1月12日日曜日

地上波テレビ局におけるVOD戦略「もっとTV」

民放5社が協力し月額900円で多くの番組を見放題という「もっとTV」がスタートした。思えば2002年にフジ,テレ朝,TBSでトレソーラというサービスが実験を開始してから12年。やっといけそうなサービスにたどりついた感じがある長い時間だった。ただまだビジネスとしての迷いも感じる。テレビCMという大きなビジネスモデルを持っている地上波民放局にとって,これまでVODは既存コンテンツの二次利用活用のビジネスという考え方が強かったと思う。しかしYoutubeやニコ生などでリアルタイムな動画コンテンツが溢れている状況では,地上波の視聴率や価値を高めるための効果がネットにも求められている。実際ソーシャルメディアの分析をしているとテレビ番組やCMが元ネタの発信はとても多い。あまちゃんや半沢直樹の人気もソーシャルメディアが一定の役割を果たしていただろう。地上波コンテンツがさらに価値を高めるためにはソーシャルメディア上で流れてきたコンテンツからのリンクやそこからの検索のあと瞬時に動画コンテンツに飛べることが大事だ。もっと言えば動画の中の特定の場面にタグを打てることでさらに特定の場面を共有することが可能になりバイラルも盛り上がる。そもそも録画視聴が増えている状況では放送後1週間程度はいつでも無料でシェア可能なVODが地上波の価値を高めることが必要ではないだろうか。一方で権利の問題はあるものの過去の膨大な番組やCMコンテンツを検索から見ることができる価値は有料コンテンツとして新しい二次利用収入モデルの可能性も十分にあるだろう。これも番組の中の特定の場面にタグを打てれば検索性がとても高くなる。まとめサイトなどが利用料をまとめて払い,エンドユーザーは無料というモデルも模索する段階に来ているのではないだろうか。日本の地上波テレビは終わったという人も多いが人々がネタ消費を求めている現在,まだまだ豊富なネタを作り続ける地上波テレビは稼ぐことが可能だと私は考える。既存モデルの強さ故に長きに渡り変革を拒んできた業界だと思うがもっとTVのようなモデルの登場はようやく変化することを許容し始めたと言えるのかもしれない。

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